Aspiration

MBAを超えて

人類は今日、極めて大きな課題に直面し、歴史の転換点に立っています。20世紀から21世紀初頭において、グローバル資本主義が経済発展を促してきた一方で、格差の拡大といったその負の局面も明らかになっています。また、地球上の資源の限界があることが明らかになり、気候変動による持続可能性への懸念が深まる中、人類の経済活動のあり方を問い直す必要性が広く議論されています。一方、デジタル技術に代表されるイノベーションが、新たな産業革命を牽引し、新たな可能性を提示する一方で、様々な倫理的な課題も表面化しつつあります。

こうした中で、ビジネス及びそのリーダーが果たすべき役割と責任は、今までになく、大きなものです。企業は、経済成長を牽引し、人類の豊かな暮らしを創り出し、未来を切り開く存在として、今日の経済社会システムにおける中心的役割を担っています。そして、その経営をリードする起業家・企業家は、企業だけでなく、社会の未来を構想し、変革と創造を牽引する役割を担います。

それゆえ、今日の経営リーダーには、事業と組織を経営する高度なスキルを持つことに加え、社会と世界についての深い洞察と、人類の未来を切り開かんとする高い志が不可欠です。現下の諸課題に果敢に挑戦し、人類の可能性を積極的に拓こうとする起業家精神。事業と組織を経営する高度なスキル。イノベーションに対峙しつつ、卓越した創造力と論理的・戦略的思考で未来を構想する力。これらの能力を兼ね備えた、プロフェッショナルな経営人材が今、求められています。そしてさらに、これからの経営リーダーは、高い志、倫理観、パブリックマインドを持ち、一個人、一事業、一企業の利益にとどまらず、社会全体に対して、そして未来の世代に対して責任を負う社会のリーダーでなくてはならない。すなわち企(起)業家であり、経営プロフェッショナルであり、社会の一員でもある。そのような全人格的なリーダー人材を育成、輩出することが、大学院大学至善館を設立した目的です。

至善館は、この目的の実現に向け、リーダーシップ教育の革新に挑戦します。20世紀に生み出されたMBAという教育パラダイムを超え、良きものは継承しつつ、新たな要素を取り込むことで、21世紀、そして22世紀に求められる全く新しい教育のあり方を生み出していきます。そして、それをグローバルに発信し、世界の経営リーダー教育パラダイムを確信していくことに取り組みます。