社会システムの理論と人間存在の未来

コース名

社会システムの理論と人間存在の未来

担当教員

宮台 真司

必修/選択

必修

配当年次

一年次・後期

単位数

1単位

授業の目的

所属するセクターがビジネス・行政・市⺠セクターのいずれであれ、私たちは社会の一員として生きている。だから、未来を担おうとするリーダーは、所属セクターを問わず社会のリーダーであるべきである。この科目は、社会のリーダーとして必要な視座の獲得を目的とする。具体的には、グローバル化や技術革新の進展の中での社会の変容や人間の変容の、現状を観察し、背景を理解し、諸問題の処方箋を考える。その際に重要なのは、自分たちがどんな未来を実現したいのかについての価値観と、未来を実現するために必要な資源を理解する合理的枠組である。これらを、自身が今おこなっている挑戦に関連づけて理解していく。
この科目の中心的問題意識は、壊れつつある共同体の、再構築の可能性である。グローバル化と技術革新の加速を背景に、伝統的な共同体としての地域や家族が、崩壊しつつある。その結果、「経済は回っても社会に穴が開く」「社会の穴を経済で埋める」「経済が傾くと社会の穴に落ちる」事態が世界中で起きている。こうした問題は、本来、私たちの政治参加すなわち⺠主政治によって解決されるべきであるが、グローバル化による格差拡大と中間層分解、インターネットなどの技術革新による共同体へのコミットメント低下によって、⺠主政治の機能不全が世界規模で進んでいる。
この科目では、社会システム理論を学問的基軸としつつ、社会が経済と政治との間に取り結ぶ関係の現状と課題、それに関連した人間存在の現状と課題を、深く理解し、よりよい未来を描くためにリーダーが引き受けるべき責務と役割を、展望する

学修の到達目標

この科⽬の、学修の到達⽬標は次の通り。

  1. グローバリゼーションの本質は、「善意と内発性」に基づく人間関係が「役割とマニュアル」に置き換えるシステム化にあること、そして
  2. システムの全域化が、生活世界の空洞化と人間存在の不安定化をもたらし、様々な問題をもたらしていることを、理解します
  3. その上で、そもそも社会とは何か、「良い」社会とは何かを、各自が問うことで、自身の価値観を構築し、そして、
  4. 技術革新の進展が社会にもたらす肯定的・否定的インパクトを、勘案した上で、より良い未来の実現のためにリーダーに要求される責務と役割を、明確化します。